不動産取引Q&A #14 区分所有法のポイント

本日いただいたお便りを紹介します。マンション購入時は区分所有法がかかわってきますのでぜひ押さえておきたいですね。

質問:区分所有法で押さえたほうがいいポイントはどんなところ?

ペンネーム:とりさん(40代東京都)

マンション購入を検討中ですが、区分所有法について知っておいたほうがいい知識を教えて下さい。

ご回答:利用できる権利と義務について多岐にわたるのでまとめました。

一般知識として、以下のようなポイントがありますのでご案内します。

区分所有法が適用されるマンションとは

分譲マンションが適用対象です。なお、住居用に限らず店舗、事務所など使用目的は問われません。賃貸マンションは適用外となります。

専有部分と共用部分

買ったマンションの買った部屋の内部を専有部分といい、この専有部分の所有権を区分所有権といいます。

分譲マンションの専有部分の面積は、壁の内側の線で測った線(内側線)で囲った広さになるのが注意事項です。通常は壁の真ん中の線(中心線)で面積を測りますが、区分所有のマンションでは内側線です。

共用部分は2種類ある

共用部分にはさらに2種類があります。

名称概要
法定共用部分構造上利用者全員が利用する部分階段・エレベーター・廊下
規約共用部分本来は専有部分にあたるところを規約で共用と定めた部分のこと集会室・管理人室

専有部分の所有者の敷地に関する権利:敷地利用権

敷地利用権は、専有部分の床面積に応じて区分所有者が共有する敷地に対する権利。具体的には所有権、地上権、賃借権など物件によって異なるので要チェックです。なお、専有部分の所有権と敷地利用権は原則分離できないです。(規約に特別な定めがあるとできることがあります。)

区分所有者の集会の議題と必要議決要件

区分所有者は自動的に当該マンションの管理組合の構成員になり、集会を行ったり、参加したりできます。

主な決議事項は以下になります。なお原則として、集会は毎年少なくとも年1回招集しなければならないとされています。

項目要件(賛成)
集会の招集1/5以上
共用部分の重大な変更3/4以上
規約の設定変更廃止3/4以上
管理組合の法人化3/4以上
大規模滅失の復旧3/4以上
違反者への措置3/4以上
建て替え4/5以上

なお議決権の行使はメールや代理人をたてることも法的にOKとされてます。

また結構重要な部分ですが、共有部分の保存行為(共有部分の雨漏りの修理や犬の糞の回収など)は決議なしで各自で可能です。

集会の進め方の原則

1:議長の決定:管理者、いない場合は集会招集をした区分所有者の一人が議長になります。

2:集会招集通知:遅くとも集会の日の1週間前には発する必要あり。(規約で短縮・延長可能)

3:集会実行

4:議事録作成:議長と集会出席者の区分所有者の2人が署名必要

購入希望者は規約の請求が可能

当該分譲マンションの購入希望者は、購入検討材料になるため、規約・議事録の閲覧請求が可能と法的にみとめられています。修繕積立金や修繕計画の実施状況は必ず確認しましょう。

なお、規約の保管については以下のように法的に指定があります。

規約・議事録
管理をする人管理者
保管場所建物内の見やすい場所
閲覧請求があった場合利害関係人の請求があった場合は、見せないといけない。
(正当な理由がある場合を除く)

以上が区分所有法についてマンション購入の際に押さえるとよい一般的な知識となります。

(※本記事は、関連する制度についての一般知識の解説を行ったもので、個別のケースに関しての課題解決について保証するものではありません。)

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