不動産取引Q&A #15 不動産売却時の本人確認について

本日いただいたお便りを紹介します。マンション購入時は区分所有法がかかわってきますのでぜひ押さえておきたいですね。

質問:不動産売却時の本人確認について教えて下さい。

ペンネーム:なすさん(50代埼玉県)

不動産売却を不動産屋さんに打診したところたくさん書類を要求されました。どの書類がどういう意味合いで必要なのか概要お伺いできますでしょうか?

ご回答:売却希望者が真の物件所有者本人かどうかを調べるために重要な書類がたくさんあります。以下解説します。

一般知識として、以下のように本人確認を行います。

手続き

1:運転免許証やパスポートの顔写真・記載内容と本人相違ないか、印鑑証明書による現住所確認

2-ケース1:所有権の登記済証(権利証)の確認(不所持の場合あり):権利証の所有者が売却希望者同一人物かどうかを調査

2-ケース2:登記識別情報通知書および登記完了証の確認(不所持の場合あり):登記識別情報通知書記載の所有者が売却希望者同一人物かどうかを調査

3:登記簿謄本の記録の名義人と売主が同一人物かどうか確認(違う場合あり)

4:その他追加確認が必要な場合はその措置:戸籍確認、住民票確認、固定資産税納税証明の確認

持ち物

不動産売却には、

・権利証
・実印
・印鑑証明

が必要となります。

さらに売却の前段階で必要な、本人確認書類は以下のようになります。必ずしもすべてが必要なわけではなく、不動産の登記された時期におうじた法律に沿って本人確認がしっかりできる範囲で不動産会社が指定する書類を揃えることになります。

書類名備考
運転免許証売却希望する本人を写真とその他事項確認
パスポート
その他公的証明書(宅建士証など)
売却希望する本人を写真とその他事項確認
売主の印鑑登録証明書印鑑登録証明の本人と権利証の所有者が同一かチェック可現住所の確認に最も信頼できる資料
所有権の登記済証(権利証)
(旧不動産登記法)
売却希望する本人と権利証の所有者が同一かチェック可平成17年以前の
旧不動産登記法で発行されたもの。
不動産ごとに1対1対応発行。
登記識別情報通知書
(新不動産登記法)
権利証の所有者しか持ち得ない書類としてチェック可平成17年施行の
新不動産登記法で発行されたもの。
旧不動産登記法での権利証と同等の役割を果たす重要書類。
不動産(土地建物は別々。)ごと
かつ登記名義人ごとに発行。
登記した本人が不交付依頼も可能。
紛失した場合再発行不可。

登記名義人が本人が違う場合→戸籍で確認
登記名義人が印鑑証明書本人が違う→住民票で確認。
登記完了証
(新不動産登記法)
権利証の所有者しか持ち得ない書類としてチェック可平成17年施行の
新不動産登記法で発行されたもの。登記識別情報通知書と別にもらえる。
登記完了したことを証明するだけの書類。
登記した本人が不交付依頼は不可。
登記簿謄本売却希望する本人と登記の名義人が同一かチェック可最新状況とは限らない。
確認方法:権利証or登記識別情報通知書の
「受付年月日と受付番号」と、
不動産登記簿の権利部甲区の
「受付年月日と受付番号」の照合で確認
該当不動産の固定資産税・都市計画税の納税通知書固定資産税納税者と売主が同一かチェック可
売主の住民票住民票の本人と権利証の所有者が同一かチェック可前住所=登記記載住所→登記後に引っ越した可能性。

相続した不動産の売却時はさらに厳重に

相続登記が未完了の場合、

・売主=相続人
・登記情報=非相続人

となるため、本人確認の難度があがるので、より厳重な調査になります。この売却案件の整合性をとるために戸籍での相続人の特定、遺産分割協議書での事実関係の確認を行う追加調査が必要になる場合があります。

最終手段は本人確認制度

例えば再発行不可の登記識別情報通知書などの必要な重要書類が紛失した等のケースでは実務的には、資格者による本人確認制度という制度があるので、資格者である司法書士などによって本人確認制度を活用するケースがあります。

同様の制度に事前通知制度というものもありますが、実務ではもっぱら資格者による本人確認制度が活用されます。

(※本記事は、関連する制度についての一般知識の解説を行ったもので、個別のケースに関しての課題解決について保証するものではありません。)

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